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「家に帰らなくちゃ!」
そう言って突然家を飛び出していってしまったり、スーパーからの帰り道に、ここがどこだかわからなくなって道に迷ってしまったり・・・。認知症になると、こういったことがよく見られるようになります。
在宅で認知症の高齢者の介護をしていると、悩まされるのがこの「徘徊」という症状です。目を離した隙に外へ出て行ってしまうため、常に注意して見ていなければなりません。
認知症には、脳血管性認知症やアルツハイマー型認知症など、いくつかの種類があります。認知症になると、記憶の障害や見当識の障害が見られ、理解力・判断力が低下して日常生活に支障をきたすようになります。見当識障害とは、年月や日時、今いる場所といった状況把握ができない状態です。同じ事を何度も聞いたり話したり、あるいは怒りっぽく興奮しやすくなってくるでしょう。中には、幻覚や幻聴、妄想などが現れることもあります。
認知症はタイプにもよりますが、薬などで進行を遅らせることができます。そのため、今までできていたことが急にできなくなったり、「どこかいつもと違う」と気づくことがあったりすれば、早めにかかりつけの主治医などへ相談するようにしましょう。
ある日いきなり徘徊が始まったら、誰でも大慌てで「待った!」と声をかけてしまうことでしょう。しかしこの対応が、実は徘徊する認知症の人にかけてはいけない言葉なのです。
「行かなきゃ」という意志を否定することによって、むしろ認知症の人は頑なに家を出て行こうとします。そのため、たとえば何気ないふりをして後をつけ、自然に合流して近所を一周して家に帰るようにすると、すんなり家に戻ってくることができます。
また、玄関で靴をはいて出て行こうとしているところで、「お茶を飲んでから出かけたら?」「この靴、汚れているからキレイにしてから出かけよう」などと声をかけると、出かけようとしていたことから意識がそれて徘徊が止まることもあります。もちろんその人や状況によって、必ずしも成功するとはいえません。しかし、否定も肯定もせずに、自然と違うところへ意識を向かわせることは大切です。
徘徊によって心配なのは、行方不明や交通事故です。どんなに注意していても、知らない間に外へ出て行ってしまうことはよくあります。そのためもしものときを考えて、本人の名前や自宅の住所、電話番号などを書いた名札などを、服や鞄などに付けておくと良いでしょう。
しかし中には、そういったものを拒む認知症の高齢者も多くいます。そのため、本人が気づかないような場所や物に、さりげなく付けておくことがポイントです。
また、認知症の家族がいることを近所の人たちに話してしまうことで、気持ちがだいぶ楽になる場合もあります。勇気がいることではありますが、思った以上に受け入れて手助けしてくれる人は多いかもしれません。近所の人が味方になれば、徘徊している姿を見かけて教えてくれるかも知れません。その他にも介護サービスなどを取り入れて、家族が介護疲れを起こさないようにすることが大切です。
